統合失調症で周囲に暴力の妹を殺害、男に懲役6年判決…裁判長「追い詰められた心境は理解できる」

栃木県さくら市で昨年1月、同居する妹の首を絞めて殺害したとして、殺人罪に問われた同市、無職の男(39)の裁判員裁判で、宇都宮地裁(古玉正紀裁判長)は7日、懲役6年(求刑・懲役8年)の判決を言い渡した。

 判決によると、男は昨年1月8日午後3時半頃、自宅で妹(当時36歳)の首を背後から腕やベルトなどで絞めて殺害した。

 判決で古玉裁判長は、統合失調症を患っていた妹への対応で「追い詰められた心境は理解できる」としながらも、「医師や相談員にさらなる相談をしたり、親族らに協力を求めたりすることもなかった」と指摘。強固な殺意に基づく犯行としたうえで、「治療により日常生活を取り戻せたはずの被害者を死亡させた」と述べた。


弁護側は判決を不服として東京高裁に控訴する方針という。

■入院や施設入所できず「絶望感勝る」

 裁判では被告人質問や、家族、主治医らの証人尋問などを通して、男が頼る場所を見つけられない中、思い詰めて凶行に至った経緯が明らかになった。

 妹は高校卒業後に就職し、家族との関係も良好だったが、幻覚などの症状が出るようになり、2010年に統合失調症と診断された。14年以降は入退院を繰り返し、病院や障害者支援施設で周囲に暴力を振るうなど、トラブルが相次いだという。

 妹は22年9月に退院し、家族と同居して通院治療を続けたが、薬の服用を拒否するようになり、状態はさらに悪化。年末には母親(70)の頭を拳でたたき、カッターナイフでふすまを切りつけたこともあった。

 男は3交代制の勤務で、夜勤明けなどには通院に付き添っていたが、妹の母親への当たりが激しくなり、男への負担が大きくなっていた。さくら市地域共生センターの職員は男から「もう面倒をみるのは難しい」と相談されたが、福祉施設に預けられないほど状態が悪く、入所には至らなかったという。

 男は妹の主治医にも相談したが、病床に空きがないなどとしてすぐには入院できなかった。主治医は、妹が自分や他人を傷つけようとした場合、警察に保護を求めるよう勧めたという。

 23年1月1日、男が妹の保護を求めて110番。警察官に状況を説明したが、目の前で自傷行為などがあったわけではなく、保護を断られた。「それ以上、頑張る気力はなかった」という男は7日後、妹に入院を拒否されたのを機に殺害した。

 「だめだとわかっていたが、妹への恐怖感と絶望感が勝ってしまった」と説明する男に、弁護人が「当時に戻れたらどうするか」と問うと、「思いつかない。教えてほしいくらいだ」と声を震わせた。

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